日本の時代劇を代表する名作『水戸黄門』シリーズ。
その中でも特に波乱に満ちた物語として知られる「天下の副将軍」では、徳川光圀（水戸黄門）が助さん、格さんを伴い、東海道から四国・高松藩へと向かう壮大な旅が描かれます。
狂気の噂が立つ藩主・松平頼常、藩を揺るがす陰謀、そして迫りくる山賊や奸臣たちとの死闘――これらの要素が織りなす緊張感あふれる展開が魅力です。
おもなキャスト、監督
水戸光圀（黄門）：月形龍之介
松平頼常：中村錦之助
佐々木助三郎：東千代之介
渥美格之進：里見浩太朗
大田原伝兵衛（水戸家側用人）：大河内伝次郎
伊之吉（御公義隠密）：大川橋蔵
中川与惣右衛門（大阪商人）：進藤英太郎
佐伯将監（高松藩城代家老）：山形勲
将軍綱吉：若山富三郎
鞆江（頼常の世話役の腰元）：美空ひばり
おはる：丘さとみ
監督：松田定次
あらすじ：狂気の噂と高松藩の危機
ある日、神田の丹前風呂にいた黄門様は、商家の旦那風の男から耳を疑う噂を聞きます。
それは、自らの息子である高松藩主・松平頼常が狂気に陥ったという話でした。
この話に重大な裏があると直感した黄門様は、助三郎、格之進の両名を伴い、急ぎ高松藩へ向かいます。
道中、大井川の川留めでの滞在、鈴鹿峠での山賊襲撃といった波乱の旅路を経て、一行はついに陰謀の中心地・高松城へ足を踏み入れます。
果たして、藩を揺るがすこの危機を、黄門はどのようにして裁くのでしょうか？
丹前風呂の出会い：噂が黄門様を動かす
元禄十年、江戸城は次の六代将軍の世継ぎ問題に揺れていた。
そのさなか、徳川光圀、通称「水戸の黄門」は、神田の丹前風呂に足を運んでいた。
そこは庶民や商家の旦那衆が情報を交換する賑やかな場である。
黄門様は囲碁を楽しんでいたが、大阪商人風の男が話しかけてきた。
その男は「水戸の黄門様はアホだ」と言い放つ。
周囲で聞いていた町人風の伊之吉が怒りを露わにし、商人に文句を言い始めた。
すると商人は、高松藩の藩主である黄門様の息子、松平頼常が乱心し、藩内で問題が発生していると語る。
その言葉に黄門様の眉が動き、真偽を確かめるため高松への旅を決意した。
東海道の波乱：山賊と陰謀の影
黄門様一行には、忠実な助さん、格さん、さらに頼もしい供・大田原伝兵衛が加わり、東海道を下ることになる。
旅は大井川の宿場で一時足止めされた。
宿場では賑やかな金毘羅参りの客が集まり、その中に大阪商人と伊之吉の姿も見られた。
雨で川留めとなり、同じく高松藩江戸屋敷から追ってきた藩士たちも同じ宿に泊まることとなった。
川留めが明け、宿を出発した黄門様一行は、鈴鹿峠に差し掛かったところで山賊に襲われる。
山賊は大金を狙い、黄門様たちを脅したが、助さんと格さんが巧みに機転を利かせ、大暴れして山賊を撃退。
その後、この襲撃は、高松藩の陰謀であることが判明する。
その混乱の最中、大阪商人が突如現れ、黄門様を弓矢で狙った男を鉄砲で撃ち倒す。
この商人の行動に一行は疑念を抱きつつも、旅を続けることにした。
高松城の真実：乱心の裏に隠された策略
四国に渡った黄門様一行は、噂に聞く頼常の狂気の真相を探るため、まず城下町に出ます。
高松城では、藩士たちが頼常に謁見し、その乱心ぶりに驚愕する。
しかしその裏で、頼常は家中の悪事を暴くために、あえて狂気を装っていたのだった。
そんな中、城代家老の佐伯将監は、藩の実権を握るため頼常に隠居を求めます。
それに対し、頼常は、家老の横領や悪事の数々を明らかにします。
追い詰められた家老は、頼常が乱心したと叫び、脇差に手を掛けました。
正義の裁き：黄門様一行の大活躍
その時、黄門様が登場し「高松藩を乱す者は許さん」と厳しく言いました。
城代家老は「黄門様は偽物だ」と叫び、討ち取るよう家臣に命じます。
助さん格さん、それに御公義隠密の伊之吉も助けに加わり騒ぎを治めます。
最後に黄門様は家臣一同に深々と頭を下げ、「頼常を支え、高松藩の再建に尽力してほしい」と頼み込みます
その姿に家臣たちは心を打たれ、跪きます。
そして高松藩は新たな一歩を踏み出すこととなりました。
こうして黄門様の旅は、また一つの大団円を迎えることができました。
まとめと感想：水戸黄門の魅力とその普遍性
『水戸黄門 天下の副将軍』は、権力を悪用する者に対する毅然とした裁きと、人間の絆がもたらす希望を描いた傑作です。
黄門様が見せる老獪な知恵と助さん・格さんの活躍、そして幕府隠密との協力が、見る者を飽きさせないダイナミックな物語を形作ります。
このエピソードを通じて、時代劇が持つ普遍的な正義の物語の魅力を堪能してください！
なお、この回では、まだ恒例の「印籠」は、登場しません。
