デジタル時代の今、手軽にコミュニケーションが取れる一方で、人と人が直接触れ合う瞬間の温かさが希薄になりがちです。
映画『アナログ』は、そんな時代に一石を投じるような、アナログな愛の形を描いた感動作です。
二宮和也と波瑠の共演によるこの作品は、偶然から始まる出会い、直接触れ合うことで深まる絆、そして試練を乗り越える二人の姿を通して、観る者の心を温めてくれます。
この記事では、映画『アナログ』の魅力と感動ポイントを徹底解説します。
映画『アナログ』主なキャスト・監督
水島悟:二宮和也
美春みゆき:波瑠
マスター:リリー・フランキー
高木淳一:桐谷健太
山下良雄:浜野謙太
山下香織:佐津川愛美
岩本修三:鈴木浩介
香津美:板谷由夏
監督:タカハタ秀太
原作:ビートたけし『アナログ』
運命の出会い:カフェ「ピアノ」で始まる物語
デザイナーとして活躍する水島悟(二宮和也)は、いつも手柄を部長に奪われていた。
ある日、広尾のカフェ「ピアノ」で偶然、美春みゆき(波瑠)という女性と出会います。
マスター(リリー・フランキー)は、このカフェは水島がデザインしたと、みゆきに教えます。
みゆきは、店内のデザインや窓留め、トイレットペーパーのホルダーまで褒めてくれ、水島は嬉しくなりました。
一方、みゆきもまた、水島が母の形見のハンドバッグを褒めてくれたことで、心を開き始めます。
みゆきがカフェから出ていくところを、親友の高木淳一(桐谷健太)と山下良雄(浜野謙太)に見られます。
ボンヤリしている水島に、「俺たちもアッという間に40だ。サッサと当たって砕けろ」と、高木が言います。
水島は、彼女との出会いは運命だと、彼らに告白しました。
少しずつ深まる二人のアナログな関係
数日後、水島が「ピアノ」を訪れ、みゆきに会います。
彼は慌ててコンビニへ行き、髭剃りを買ってヒゲを剃りました。
そして二人は「ピアノ」を出て、食事に出かけます。
水島がまた会えるか尋ねると、みゆきは「はい」と応えました。
みゆきに連絡先を尋ねると、彼女は「携帯を持っていないんです」と静かに答えます。
デジタル全盛の時代に生きる水島にとって、この返答は驚きでした。
しかし、みゆきは微笑みながらこう続けます。
「今日は木曜日。何もなければ、来週も同じ時間にあの店にいます」
「お互いに、会いたい気持ちさえあれば、会えますよ」と。
こうして、二人の特別なルールが始まりました。
直接会うことで生まれるぬくもりや、時間をかけて少しずつ深まる信頼。
現代では希少とも言えるアナログなコミュニケーションが、二人の絆を強めていきます。
試練とすれ違いの中での絆
そんな時、水島は、商談のため大阪へ出張します。
彼が提案したデザインが了承され、その場で模型サンプルを作ることになりました。
模型が出来上がり、午後の新幹線で東京へ戻る予定です。
しかしその時、他の社員の不注意で、模型が壊れてしまいます。
みゆきが「ピアノ」で、待っている頃、水島は大阪で模型を作り直していました。
次の週、無事に会えた二人は、焼き鳥屋へ行きます。
そこで、高木と山下に出会い、4人で相席となりました。
みゆきはそこで、落語の小話を披露し、みんなを驚かせます。
こうして、二人の関係は、少しずつ、けれど確実に深まっていきます。
互いの気持ちを丁寧に言葉にして、重ねていきます。
ある日、水島は、みゆきをクラシックコンサートに誘います。
みゆきは以前バイオリンを習っていたと言います。
さらに「バイオリンを持つと、自分と楽器の境界線が消えるんです」と言う。
演奏が始まりピアノが鳴り出すと、みゆきの表情が変わり、席を立ちました。
水島が追いかけると、みゆきは7涙を流し「ごめんなさい」と言い残し、去って行きました。
それから2週間、彼女は姿を現しませんでした。
結婚を決意した直後、みゆきの失踪
水島悟と美春みゆきにとって、毎週木曜日の「ピアノ」での再会は特別な時間でした。
水島は結婚を決意し、高木や山下と共に、指輪を買いに行きます。
そして次の木曜日、緊張した表情でみゆきを待ちます。
遅れて来たみゆきは、家の用事があると、挨拶だけで帰ります。
「来週、話したいことがあります」と水島が言うと、「私も、お話したいことがあります」と、みゆきも言いました。
しかし、次の週、みゆきは現れませんでした。
最初は、忙しいのだろうと思っていたが、それから一月経っても、みゆきは現れません。
そんな時、水島は会社から大阪での常駐を打診され、彼はその話を受けました。
一年後、大阪で水島は昇進し活躍していました。
その頃、山下は、妻・香織が会社から持って帰ったCDの中に、みゆきの姿を見つけます。
山下は、香織のつてでみゆきを調べました。
そして、みゆきは水島と会う約束の日、交通事故に遭ったことが分かりました。
みゆきは、脳障害と下半身麻痺で、意識はあるものの、意思の疎通ができない状態でした。
奇跡の愛:みゆきの思いを綴る日記帳
水島は、病院にいるみゆきに会いに行きます。
車椅子のみゆきは、水島が話しかけるが、表情も変えず黙ったままでした。
その後、水島は、みゆきの姉・香津美(板谷由夏)が持ってきた、みゆきの日記を読みます。
日記には、水島への思いが詰まっていました。
”水島と「ピアノ」で出会い、母のバッグに気付いてくれて、嬉しかったこと。
自分を温かくて、明るい場所に連れていってくれようとしていたこと。
糸電話で、水島と生きていきたい、と答えたこと。
いつか、自分の音楽を、バイオリンで伝えたい。”
みゆきは、事故に遭う前に携帯を買っています。
木曜日以外も、水島に会いたかったのだろうと、香津美が言いました。
水島は、みゆきのリハビリを手伝わせてほしい、と香津美にお願いします。
香津美は、この状態は続くので、重荷に思うことはない。
貴方は他人だからと、頑なに断ります。
水島は、「僕とみゆきは、家族になろうと思ったんです」と、訴えます。
その時、みゆきがゆっくりと、水島に顔を向けました。
香津美は、奇跡ともいえるみゅきの様子に、言葉を失いました。
それから水島は独立し、リモートで仕事を続け、みゆきに会いに行く生活を続けました。
水島が車椅子を押し、海岸を散歩します。
ある日、いつものように車椅子で出かけると、教会からクリスマスのコーラスが聞こえてきました。
水島は、車椅子を押して教会に入ります。
「みゆきさん、結婚してくれませんか」
水島は、みゆきにプロポーズをしました。
感動の結末:奇跡を生んだ「木曜日」
それから一年が経ち、また冬が巡って来ました。
その日も「ピアノ」のコーヒーをボトルに詰めて、いつもの海岸に行きました。
風が強くなったので帰ろうとすると、突然、みゆきが水島の手を押さえます。
水島は驚きながら、みゆきの手を取り「みゆきさん」と呼びかけました。
みゆきは、何か言いたそうにします。
そして、小さな声で、何か言いました。
水島が、「もう一度言ってみて」と言うと、「きょうは、もくようび」と、みゆきが言いました。
「はい、今日からずっと、木曜日です」
水島は、涙を流し応えました。
映画『アナログ』の見どころ
1. アナログな愛の形が描く温かさ
スマホもSNSもない約束。それでも毎週木曜日に会うことで育まれる二人の絆は、観る者に人間らしい愛の形を教えてくれます。
2. デジタル時代へのメッセージ
劇中では、携帯電話やSNSに頼らず、直接会うことで育まれる信頼と絆が丁寧に描かれています。
これは、現代社会の利便性に慣れすぎた私たちに、人間関係の本質を問いかける要素です。
3. 二宮和也と波瑠の圧巻の演技
二人の間に生まれる感情の機微が、繊細かつリアルに描かれています。特にみゆきの事故後、水島の献身的な姿に涙する場面は見逃せません。
4. 美しい映像とロケ地の魅力
東京のカフェ「ピアノ」や満月のクリスマスツリー、海岸など、美しいロケーションが物語の世界観をより深めています。
映画『アナログ』のまとめ・結論
『アナログ』は、デジタルが主流の現代だからこそ響く、アナログな愛の美しさを描いた映画です。
何気ない日々の温かさや、直接触れ合うことで深まる絆の尊さが、ストーリーを通して観る者の心に刻まれます。
二宮和也と波瑠が織り成す愛の物語は、多くの人に「人と人との繋がり」について深く考えさせられることでしょう。
まだ観ていない方は、ぜひVODでこの感動を体験してください。